陸屋根とは?メリットやデメリット・メンテナンス方法の種類を解説

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陸屋根とは?メリットやデメリット・メンテナンス方法の種類を解説

都市部などで家を建てるとなるとなかなか土地が確保できず、近年では1階を駐車場、2階をリビング、3階を寝室にしてさらに屋上を設けるなど縦に長くした住宅が多くあります。そのような住宅で屋上を設ける際に敵してるのが、ほとんど勾配のない平らな形をした陸屋根です。

当記事では、陸屋根の特徴やメリットとデメリット、またメンテナンス方法などを解説します

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 陸屋根に興味がある方
  • 自宅が陸屋根でメンテナンスが必要だと感じている方
  • 家を建てる際に、ガーデニングや家庭菜園などを屋上で楽しめる住宅にしたい方

陸屋根とは?

陸屋根は「ろくやね・りくやね」と読み、屋根勾配のない真っ平らな屋根のことを指します。真っ平らなことから「平屋根(ひらやね)」や「フラット屋根」とも呼ばれ、近年ではビルやマンションだけでなく住宅にも多く取り入れられるようになりました。

真っ平らと言っても水たまりができてしまってはよくないため、水が流れるように排水口に向かって若干の傾斜がつけられています。

陸屋根のメリット・デメリット

陸屋根のメリット・デメリット

陸屋根にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、採用するか検討中の方は知っておくとよいでしょう。以下では、陸屋根のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

陸屋根のメリット

陸屋根のメリットは、主に平面であるからこそのメリットが多くあります。以下は陸屋根のメリットです。

■屋上として活用できる

都市部に建てた家など土地の面積が少ない場合、屋根のスペースを有効活用してバルコニーやベランダの代わりのスペース、ガーデニングや家庭菜園スペースとして活用できるのが大きなメリットです。太陽光発電を設置することもできます。そのため、家の前が道路でお庭を作れなかったり、隣家との距離が近く視線が気になったりする場所に家を建てる方にもおすすめです。

■メンテナンスが比較的簡単

勾配のある三角屋根の場合、屋根塗装や屋根の張り替えに足場が必要となる場合がありますが、陸屋根はフラットな形状のため足場を作る必要がなく、自宅の大きさにもよりますが、メンテナンスで足場を建てる費用を約15〜20万円ほど節約できます。歩行が可能なので自分で日常的に掃除もでき、きれいな状態を保ちやすく、住宅劣化のスピードを緩められるというのもメリットです。

■建築スペースを広くできる

天井が平坦だと三角屋根に比べて建築スペースが広くなるのもメリットの1つと言えるでしょう、屋根裏がないため、同じ高さの家でも室内の空間を広くすることができます。天井が低いと圧迫感があり窮屈な印象を覚えがちです。しかし、陸屋根にして部屋の天井を高くすれば、土地の面積が狭くても室内で開放感があり広く感じられるでしょう。

■シャープでおしゃれな外観になる

近年ではシンプルモダンなデザインの家が流行っていることもあり、陸屋根はその雰囲気によく合うことからも採用されることが多くなっています。シャープな見た目でシンプルながらも高級感があり、落ち着いた雰囲気の自宅にしたい方にはぴったりです。他の家の外観とは一味違う、おしゃれな雰囲気にしたい方にも良いでしょう。窓の少ない家やキューブ型住宅に主に採用されています。

陸屋根のデメリット

陸屋根は多くのメリットがある一方で、気をつけなければならないこともいくつかあります。自宅を建てる前にデメリットを踏まえた上で建設者と一緒にじっくり検討しましょう。

■雨漏りしやすい

陸屋根でよく指摘されるデメリットが、雨漏りトラブルです。緩やかな勾配をつけているとは言っても、勾配のある三角屋根に比べるとほとんど平であるために水はけが悪く、しっかりと防水処理をしておかないと雨漏りトラブルに遭う可能性があります。また積雪のリスクもあり、雪はかなりの重量となるため雪の降る地域で陸屋根を採用する場合には屋根の強度を上げることが重要です。

■夏場は最上階が蒸し暑い

三角屋根の場合、直射日光が当たっても屋根内部の空間があることで屋根に熱が伝わりにくくなっています。しかし、陸屋根には内部空間が少ないため熱が家の中に伝わりやすく、猛暑の時期には蒸し暑くなってしまうのがデメリットです。断熱材や遮断シートなどの施工によって対策をするのか、屋根部分を緑地化、またはウッドデッキにするなど対策が必要です。

■屋根裏やロフトのが設置できない

陸屋根では屋根裏スペースを確保できないため、収納スペースを増やしたい方や屋根裏をちょっとした居住空間にしたい方にとっては、デメリットになります。屋根裏やロフトスペースを作らなくても、収納スペースが十分になるという場合はそれほど気にならないでしょう。

陸屋根のメンテナンス方法

陸屋根のメンテナンス方法

陸屋根のメンテナンスで基本的に行うのは、防水工事です。陸屋根に行う防水工事は3つに大きく分けられるため、以下ではそれぞれ解説します。

■塗膜防水

塗膜防水は、液状の防水材料を塗布して効果させることで防水層を形成する施工方法です。耐用年数は10年程度となっており、複雑な形状の屋根でも施工可能です。液状のウレタン樹脂を塗る「ウレタン防水」、また下地にガラスマットを敷いてポリエステル樹脂を塗布し硬化させる「FRP防水」と塗膜防水でも種類がいくつかあります。

■シート防水

1.5〜2.5mmの防水性の高い厚みのあるシートを敷くことで防水層を形成するのが、シート防水です。シートを一気に貼って施工するため工期が1〜4日と短く、耐用年数も10〜15年と塗膜防水とあまり変わりません。だし、シート上のため複雑な箇所への施工には不向きです。基本的には塩化ビニールシート防水が多く使われていますが、ゴムシートと防水もあります。

■アスファルト防水

アスファルトが含まれるシートと液状のアスファルトを使用して塗り重ねていくことで防水層を作る施工方法です。合成繊維不織布にアスファルトを浸透させたアスファルトシートには高い防水性があり、アスファルト防水は防水工事の中でも最も防水性に優れた方法だと言えます。耐用年数も15〜20年ほどと長いですが、工事が大掛かりになるためビルやマンションに施工されるのが多い傾向です。

まとめ

陸屋根とは屋根の形状の一種で、緩やかな勾配がついたほとんど真っ平の屋根のことです。屋上を有効活用できることや平らなので掃除がしやすくメンテナンス費用も抑えられるなどのメリットから、近年ではビルだけでなく住宅でも多く取り入れられています。

しかし、雨が溜まらないように若干の勾配がついているといっても、やはり他の屋根形状よりは雨漏りしやすいというデメリットがあります。また夏場は最上階が蒸し暑くなったり、屋根裏やロフトを設置できないのもデメリットです。陸屋根を採用する場合は、必ずしっかりとした雨漏り対策が必要となります。

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