【屋根材別】屋根補修の費用の目安と使える補助金制度
屋根

屋根は雨風や紫外線から住まいを守る大切な部分ですが、経年劣化や台風などの自然災害で傷みが進むことがあります。放置すれば雨漏りや住宅全体の劣化につながり、高額な修繕が必要になるケースも少なくありません。
当記事では、瓦・スレート・金属といった屋根材ごとの補修費用の目安を紹介するとともに、屋根工事で利用できる代表的な補助金制度についても解説します。修繕を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 屋根の劣化が気になっている方
- 屋根補修の費用相場を知りたい方
- できるだけ費用負担を抑えたい方
屋根補修の費用目安
屋根と一口に言っても、瓦・スレート・金属など素材によって補修内容や金額は大きく異なります。劣化の程度や工事の方法によっても相場が変動するため、事前に目安を知っておくことが大切です。ここからは、屋根材ごとの補修費用の目安を詳しく解説します。
瓦屋根の補修の費用目安
瓦屋根は耐久性に優れ、適切にメンテナンスすれば数十年持つと言われる屋根材です。ただし、地震や台風の揺れによって瓦がずれたり、漆喰の劣化で雨漏りが発生したりすることがあります。劣化の進行度や補修範囲によって費用は異なるため、目安を把握しておくと安心です。
- 漆喰の詰め直し:3,500〜4,500円程度/m
- 棟瓦の積み直し:11,000円~18,000円程度/m
- 谷樋板金の交換:5,000円程度/m
- 葺き直し:100万〜180万円
- 雨どい部分の補修:1万〜5万円
- 雨どい部分の全体交換:20万〜50万円
漆喰の劣化は早めの対応が推奨されます。棟瓦や谷樋板金は雨仕舞いの要となる部分で、交換時期を誤ると修繕費が膨らむリスクがあります。葺き直しは既存瓦を再利用する工事で、大規模な修繕時に選ばれる方法です。雨どい補修は軽度なら低予算で済みますが、全体交換となると費用は高額になるため、定期的に確認をしましょう。
スレート屋根の補修の費用目安
スレート屋根は軽量で耐震性に優れ、施工費用も比較的安価なため、戸建て住宅で広く使われています。しかし薄い板状の屋根材のため、ひび割れや欠けが生じやすく、経年劣化により塗膜がはがれると防水性が低下します。状態に応じて部分補修から大規模工事まで幅広い対応が必要です。
- ひび割れの補修:2万〜5万円程度
- 割れ・欠損の補修:5,000~30,000円程度/1枚
- 棟板金の交換:5,000~8,000円程度/1枚
- 屋根塗装:30万〜70万円程度
- カバー工法:60万〜130万円程度
- 葺き替え工事:100万〜300万円程度
ひび割れや欠損の軽微な補修はコーキング材や部分交換で対応できますが、棟板金の浮きや錆は放置すると雨漏りにつながるため早めの交換が必要です。屋根塗装は防水性と美観を保つため10年前後で行うのが目安です。カバー工法は既存屋根の上に新しい屋根材を重ねる工法で、葺き替えより安価に耐久性を高められます。ただし、下地の劣化が激しい場合は葺き替え工事が推奨されます。
金属屋根の補修の費用相場
金属屋根は軽量で耐久性に優れ、耐震性や施工性が高いのが特徴です。近年ではガルバリウム鋼板など錆に強い素材が主流ですが、傷や経年劣化によって錆が広がると雨漏りの原因になります。比較的メンテナンス頻度が少ない屋根材ではあるものの、定期的な塗装や小規模補修が必要です。
- 部分修理:1万〜10万円程度
- 屋根塗装:40万〜80万円程度
- 棟板金の交換:5万〜20万円程度
- 葺き替え工事:150万〜250万円程度
棟板金は風で飛ばされやすく、固定が弱まると雨漏りのリスクが高まるため定期点検が必要です。劣化が進行して全体の耐久性が落ちた場合は葺き替え工事が必要になります。費用は高額ですが、長期的に見ればメンテナンスコストを抑えられる選択肢とも言えるでしょう。
屋根の補修で使える補助金制度
屋根の補修では、条件を満たすことで国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。すべての工事が対象となるわけではありませんが、省エネ性や耐久性向上に資する改修工事であれば、補助の対象になることもあります。ここでは代表的な制度を紹介します。
住長期優良化リフォーム推進事業制度
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の長寿命化や省エネ化、子育て環境の整備を目的とした国の補助制度です。戸建て・共同住宅が対象で、屋根補修も「性能向上リフォーム工事」として支援対象になります。屋根の軽量化や板金補強、防災性・断熱性向上の補修などが該当し、費用の3分の1が補助され、上限は1戸あたり80万円です。
また、工事前のインスペクションや維持保全計画の作成、瑕疵保険加入費用も対象になります。屋根工事は費用が高額になりやすいため、この制度を利用すれば負担軽減につながります。申請には事前計画や書類準備が必要なため、施工会社と相談しながら進めると安心です。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業(子育てエコホーム支援事業)は、国土交通省が展開する補助制度で、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、省エネ性能の高い住宅を普及させることを目的としています。新築住宅ではZEH基準を満たす高性能住宅が支援対象となり、既存住宅については省エネ改修に補助が行われます。
屋根や天井の断熱リフォームも対象に含まれ、さらに断熱リフォームと同時に行う場合に限り、空気清浄機能・換気機能付きエアコンやバリアフリー改修なども補助の対象になります。屋根の断熱リフォームに対する補助額は2万~5.4万円で、1戸あたりの上限は原則30万円です。ただし、子育て世帯や若者夫婦世帯(1982年4月2日以降生まれ)は上限が60万円まで引き上げられます。
住宅省エネ改修促進事業など自治体による助成制度
住宅省エネ改修促進事業など、各自治体が独自に設けている補助制度を活用する方法もあります。制度の有無や内容は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォーム支援制度検索サイト」で確認でき、地域ごとの助成一覧から対象工事や補助額を調べることが可能です。
たとえば、東京都品川区の「住宅改善工事助成事業」では、エコやバリアフリー性を高めるリフォームに対し、工事費10万円以上から助成が受けられます。横浜市では「木造住宅耐震改修補助制度」を設け、耐震診断で一定基準を満たす改修工事が対象です。大阪府では昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を対象に、耐震化を支援する補助制度があり、各市町村が窓口となっています。自治体によって条件や補助額は異なるため、事前にお住まいの市町村へ確認することが大切です。
まとめ
屋根補修の費用は瓦・スレート・金属など素材や劣化の程度によって大きく異なり、軽微な補修から葺き替えまで幅広い相場があります。瓦は漆喰の詰め直しで数千円から、葺き直しでは100万円以上かかることもあります。スレートは塗装やカバー工法が多く、金属屋根は錆対策として塗装や葺き替えが必要です。
また、国や自治体の補助制度を利用できる場合があり、長期優良住宅化リフォーム推進事業では屋根の性能向上工事に最大80万円、子育てグリーン住宅支援事業では屋根断熱改修に最大60万円の補助があります。さらに、自治体ごとの耐震化や省エネ改修支援制度を活用すれば費用負担を軽減できます。