寄棟屋根の特徴とメリット・デメリットを解説!切妻屋根との比較も

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寄棟屋根の特徴とメリット・デメリットを解説!切妻屋根との比較も

寄棟屋根(よせむねやね)はさまざまな屋根形状の中でも、戸建て住宅に多く用いられている屋根形状です。戸建てを建てるにあたって寄棟屋根が気になっているものの、どのような屋根なのか、また採用するメリットとデメリットを知りたい方もいるのではないでしょうか。

当記事では、寄棟屋根の特徴とメリット・デメリット、また寄棟屋根とよく比較される切妻屋根についても紹介します。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 寄棟屋根をマイホームに採用したい方
  • 寄棟屋根と切妻屋根で迷っている方

寄棟屋根とは?特徴を紹介

寄棟屋根は「よせむねやね」と読み、一般的に日本で人気の高い屋根形状の1つです。
寄棟屋根は頂上から軒先に向かって4方向に勾配があります。そのうちの2面は台形で、もう2面は三角形の屋根で構成されているのが特徴です。各面のつなぎ目が屋根の頂部となる「棟(むね)」に集まっていることから寄棟屋根と呼ばれています。

(関連:屋根の形は12種類!形状別の特徴とメリット・デメリットについて解説!

寄棟屋根のメリット

寄棟屋根のメリット

屋根の形状は家の雰囲気に関わるため、和風・洋風と家の雰囲気によって屋根形状を考える必要があります。しかし、寄棟屋根は和風・洋風の家どちらにもあう屋根形状で、他のメリットも多いのが特徴です。

以下では、寄棟屋根の長所を3つ紹介します。

立地を選ばない

日本の戸建て住宅は多くの場合、完全に自由に建てることは不可能で、光や通気を保つために斜線制限があったり、隣家の建物の向きに制限があったりします。

そこで寄棟屋根は四方すべての屋根の高さが変わらないため、傾斜制限があっても制限をパスできるメリットがあります。また、どの方向に向けて家を建ててもバランスがとりやすく、狭い敷地で建てやすいのも魅力です。

風の影響が少なく耐久性に優れている

屋根が四方に広がる寄棟屋根は、どの方向から吹く風であってもバランスよく受け止められるのがメリットです。また家の外壁は雨や日差しの紫外線、雪などによって劣化につながり、劣化を防ぐには屋根の「軒」が重要になります。

寄棟屋根では四方に軒が伸びているため、外壁すべての面を守ってくれるという特徴もあります。
台風の多い地域や風の強い地域ではよく寄棟屋根が採用されており、屋根の破損リスクを最小限に抑えられているのも実情です。綺麗な外壁を長期間にわたって保てることで、メンテナンスの回数を減らせる可能性があるのも大きな魅力でしょう。

落ち着いた安定感のある外観になる

寄棟屋根は重厚感のある見た目で、どっしりと落ち着いた雰囲気の外観になります。シンプルな形状だからこそ安定感があり、マイホームらしい安らぎを得られる屋根形状です。

屋根形状は家の雰囲気を左右するため、洋風・和風どちらかの家を建てる際に屋根形状を吟味しなければならないケースもあります。しかし、寄棟屋根では洋風・和風と住居の雰囲気を選ばず、どちらにもマッチするのも魅力です。機能性とデザイン面のバランスが非常によく、スタイリッシュなデザインの住居にも違和感なくフィットする万能な屋根形状になっています。

寄棟屋根のデメリット

寄棟屋根のデメリット

寄棟屋根は耐久性に優れ住居のデザインも選ばないなど、メリットの多い屋根形状ではありますが、実際に取り入れる際にはデメリットも把握しておくことが大切です。以下では、寄棟屋根のデメリットについて解説します。

コストがかさむ傾向にある

寄棟屋根は屋根が4面あることで片流れ屋根など一面しかない屋根に比べると面が多く形状が複雑で、部材や施工費がかかるために、建築コストが高くなるのがデメリットです。メンテナンス時も建築時同様、屋根の面積が広いためメンテナンスコストがかさむ傾向にあります。

寄棟屋根自体は耐久性には優れているため、トータルコストとしてはかからないケースもあります。建築の際は資金計画を立てて費用を工面しておくことが重要です。

屋根裏のスペースを取りにくい

屋根の四方すべてが傾斜となる寄棟屋根では、屋根裏のスペースを広く確保できないのもデメリットと言えます。屋根裏を収納部屋や居住スペースにしたいという方には、不利な屋根形状のため注意が必要です。

また屋根裏にスペースを確保しづらいと、住宅全体の換気がしにくいという特徴もあります。湿気がたまることで害虫の発生にもつながるため、換気システムをしっかり設計する必要があります。

太陽光パネルを設置しづらい

寄棟屋根は全体の屋根面積は広くなりますが、一面の面積は小さいため太陽光パネルと設置しにくいというデメリットがあります。近年では自宅に太陽光パネルを設置して、自家消費と売電の両立で電気代を節約する方も増えてきました。そういったシステムを取り入れていきたいという方には、寄棟屋根は発電効率がよくなく不利になるでしょう。

売電価格が下がってきている現在では、太陽光パネルの大きさは小さくてよい、または太陽光パネル自体を設置する理由があまりないといった声もあります。寄棟屋根で太陽光パネルを設置する際には、しっかりとしたシュミレーションが必要です。

寄棟屋根と比較されがちな切妻屋根の特徴

寄棟屋根と迷われることが多く比較されがちな屋根形状が、「切妻屋根(きりづまやね)」です。切妻屋根は山形に二方向へ屋根が落ちるデザインで、寄棟屋根と同様、日本の住宅建築において基本となる形状をした屋根です。以下では、切妻屋根のメリットとデメリットをそれぞれ箇条書きで紹介します。

メリット

  • 施工費用が安く初期費用を抑えられる
  • メンテナンスコストを抑えられる
  • 和風と洋風どちらの雰囲気の住居にもマッチする

デメリット

  • 雨や日光が直接あたり外壁が傷みやすい
  • 他の家とデザインが被りがちで個性があまりでない

切妻屋根はデザインにそこまでこだわりがなかったり、コストを下げたかったりする方にはおすすめの屋根形状です。一方で、屋根の耐久性やデザイン性を重視するという方には、比較的初期費用とメンテナンスコストは高くなりがちですが、寄棟屋根が向いていると言えるでしょう。

(関連:切妻屋根とは?メリットやデメリット、必要なメンテナンスについて解説!

まとめ

寄棟屋根(よせむねやね)とは、頂上から軒先に向かって4方向に屋根が広がり、そのうち2面は台形で2面は三角形の屋根で構成されている屋根形状です。立地を選ばずどの方向に建ててもバランスの取れたデザインで、四方に軒が伸びているため雨風から外壁を守ってくれるなどのメリットがあります。

一方で、屋根面積が広いため建設コストが高くなり、屋根裏のスペースも取りづらく、太陽光パネルも取り付けづらいというデメリットもあります。寄棟屋根を採用する際には、初期費用だけでなくメンテナンスコストなど継続的な資金計画を立てることが重要です。

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