横葺き屋根のメリットとデメリット・種類|縦葺き屋根との違いも解説
屋根
横葺き屋根は、水平ラインの美しさが際立つ人気の屋根デザインです。軽量な金属材を使用するため耐震性にも優れ、現代的でスタイリッシュな印象を与えます。一方で、勾配や施工技術に制限があるため、選び方やメンテナンスを誤ると雨漏りなどのトラブルにつながる場合もあります。
当記事では、縦葺き屋根との違いをはじめ、横葺き屋根の特徴、メリット・デメリット、主な種類などを解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 屋根のリフォームや新築を検討しており、横葺き屋根と縦葺き屋根の違いを知りたい方
- ガルバリウム鋼板など金属屋根の種類や特徴を比較したい方
- 平葺き・段葺き・長尺横葺きなど、横葺き屋根の種類ごとの特徴を理解したい方
目次
横葺き屋根とは?

横葺き屋根(よこぶきやね)とは、屋根の傾斜(勾配)に対して横方向に屋根材を張り重ねていく施工方法のことを指します。金属屋根によく用いられ、ガルバリウム鋼板やトタンなどの軽量な金属材を使用するのが一般的です。屋根面に横方向のラインが美しく出るため、モダンでスタイリッシュな外観を演出でき、デザイン性の高さから住宅や店舗にも多く採用されています。
また、素材が軽量なため耐震性にも優れ、施工もしやすいのが特徴です。ただし、横方向に継ぎ目が生じる構造のため、雨水の侵入を防ぐためには適切な勾配や雨仕舞いの設計が重要になります。
縦葺き屋根との違い
縦葺き屋根(たてぶきやね)とは、屋根の勾配に沿って縦方向に屋根材を葺く工法のことです。雨水が流れやすく、防水性や排水性に優れているため、降雨量の多い地域や雪の多い寒冷地でも採用されやすい屋根形状です。使用される素材は主にガルバリウム鋼板などの金属材で、継ぎ目が少なく、雨漏りのリスクを軽減できるのが特徴です。
一方、横葺き屋根はデザイン性に優れ、住宅の外観に水平のラインを強調できますが、縦葺きに比べると勾配の設計や雨仕舞いの管理がやや複雑になります。どちらも金属屋根として人気がありますが、機能性と見た目のどちらを重視するかで選び方が異なります。
横葺き屋根のメリットとデメリット
横葺き屋根は、軽量でデザイン性が高く、現代的な住宅にもよく採用される人気の屋根形状です。しかし、施工方法や勾配によっては雨漏りなどのリスクもあるため、特徴を理解した上で選ぶことが大切です。ここではメリットとデメリットを解説します。
横葺き屋根のメリット
横葺き屋根には、デザイン性・機能性の両面で多くの利点があります。代表的なメリットを以下に紹介します。
■デザインの自由度が高い
横葺き屋根は、使用できる屋根材やカラーのバリエーションが豊富で、和風・洋風を問わず幅広い建物に対応できます。特に、金属やスレートなどさまざまな素材を選べるため、住宅だけでなく、店舗や公共施設などにも多く採用されています。水平ラインが強調されるデザインは、スタイリッシュで現代的な印象を与えます。
■防音性に優れている
横葺き屋根は、縦葺きよりも小さな屋根材を横方向に重ねる構造のため、1枚あたりの面積が小さく、雨音や風音の伝わりが抑えられます。特に金属屋根の場合、音が反響しにくくなるため、居住空間の静音性を確保しやすいという特徴があります。
■部分補修がしやすい
横方向に細かく分割されているため、一部に損傷が生じた場合でも、必要な部分だけを交換・補修することが可能です。これにより、全体の張り替えを避けてメンテナンスコストを抑えることができます。
横葺き屋根のデメリット
横葺き屋根はデザイン性に優れていますが、施工条件や構造上の特徴からいくつかの注意点があります。主なデメリットを以下に紹介します。
■屋根勾配に制限がある
横葺き屋根は、雨水をスムーズに流すために2寸以上の勾配が必要とされています。勾配が緩すぎると雨水が滞留しやすく、雨漏りの原因となるため施工できません。勾配を確保するために屋根面積が増えることもあり、リフォームや新築時の工事費用が高くなる傾向にあります。
■排水性が低く、雨漏りリスクがある
横葺きは屋根材を横方向に重ねて施工するため、継ぎ目部分に雨水が溜まりやすくなります。特に強風や豪雨時には、雨水が逆流して内部へ浸入する恐れがあります。勾配が緩い屋根ではこのリスクがさらに高まり、定期的な点検やメンテナンスが大切です。
■施工費用が高くなりやすい
横葺きの金属屋根は、縦葺きに比べて平米あたりの単価が高い傾向にあります。80㎡の屋根を新設する場合、ガルバリウム鋼板なら約70万円、断熱材付きエスジーエル鋼板では約80万円が目安です。
■高度な施工技術が必要
国内メーカー製の横葺き屋根は、止水性を高めるために折り曲げ加工が多く、精密な板金技術が求められます。熟練した職人でなければ施工品質が保てず、仕上がりや耐久性に差が出ることもあります。
横葺き屋根の種類

横葺き屋根といっても、施工方法や見た目によっていくつかの種類があります。代表的なものに「平葺き」や「段葺き」があり、仕上がりの印象や機能性が異なります。ここでは主な種類を紹介します。
平葺き
平葺き(ひらぶき)は、屋根材のつなぎ目が薄く、全体がフラットに仕上がる横葺き屋根の代表的な工法です。別名「一文字葺き」とも呼ばれ、上下の段で継ぎ目を千鳥状に配置することで、整然とした美しいラインが生まれます。モダン住宅だけでなく、寺社仏閣や門など、デザイン性を重視する建築にも多く採用されています。
規則的で精密な仕上がりが魅力で、和風建築の繊細な美を際立たせることができます。一方で、材料の切り回しが難しくロスが多いため、施工単価はやや高めです。職人の技術が仕上がりを左右する、意匠性に優れた屋根と言えます。
段葺き
段葺き(だんぶき)は、横葺き屋根の各段の端部に立ち上がりを設け、上下の段に高低差をつけることで立体感を出す工法です。見た目は平瓦やスレート屋根のように重厚で、デザイン性の高い外観を実現できます。
段葺きの最大のメリットは、水切れの良さです。段の立ち上がりが雨水の流れをスムーズにし、雨漏りを防ぎます。また、断熱材入りの屋根材を使用すれば、断熱性や遮音性も向上します。一方で、専用部材や金具が必要なため材料費・施工費ともに高く、工事の手間もかかる点がデメリットです。
そのほかの種類
横葺き屋根には「長尺横葺き」と「定尺横葺き」という種類もあります。長尺横葺きは、屋根全体を覆う長い鋼板を使用する工法で、継ぎ目が少なくシームレスで美しい外観に仕上がります。雨漏りのリスクが低く、材料ロスも少ない点がメリットです。一方で、長い鋼板の荷揚げにはクレーンなどの設備が必要で、立地によっては施工が難しい場合があります。
定尺横葺きは、短い鋼板を継ぎ合わせて施工する方法で、材料の取り回しが良く、複雑な屋根形状にも対応可能です。施工コストを抑えられる一方、継ぎ目からの雨漏りリスクがあるため、職人の技術力が重要になります。
まとめ
横葺き屋根は、屋根材を横方向に重ねて施工する工法で、金属屋根によく用いられます。軽量で耐震性に優れ、水平ラインが美しいため、モダンな住宅や店舗で人気です。デザインの自由度が高く、防音性や部分補修のしやすさも魅力ですが、勾配制限や雨漏りリスクがあるほか、高度な施工技術が求められます。
代表的な種類には「平葺き」「段葺き」「長尺横葺き」「定尺横葺き」があり、建物のデザインや立地に応じて最適な工法を選ぶことが重要です。
この記事の監修者情報
峠元 聡良
所属:峠元板金工業所
経歴:職人歴4年