瓦屋とは?仕事内容と点検時の確認ポイント・板金屋との違いを解説
屋根
建築業界には大工、配管工、塗装工などさまざまな職種が存在し、それぞれの分野で専門的な技術を発揮しているのが特徴です。瓦屋も瓦屋根の施工や修復を専門とした職業で、古き良き日本家屋の安全と美観を守るために活躍しています。しかし、瓦屋と聞いてもどのような仕事をしているかを細かく知る方は、そう多くはありません。
当記事では、瓦屋の仕事内容やなり方、瓦屋が点検時に確認するポイントなどを解説します。瓦屋がどのような職業であるか改めて知りたい方は、ぜひご一読ください。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 瓦屋に瓦屋根のメンテナンスを依頼しようか迷っている方
- 将来的に瓦屋になりたいと思っている方
- 瓦屋の業務の範囲について知りたい方
瓦屋とは?
瓦屋とは、主に瓦を使った屋根の施工や修理を専門とする職業です。瓦の設置はただ並べるだけでなく、建物に合わせた強度やデザインを考慮する必要があり、高度な専門知識と技術が求められます。
新築工事だけでなく、既存の屋根の点検や補修、瓦の交換なども行い、建物を雨風から保護する仕事をするのも瓦屋の仕事です。瓦は伝統的な日本家屋に多く使用されるため、瓦屋は建築文化を支える重要な職業の一つと言えるでしょう。
瓦屋と板金屋との違い
瓦屋と板金屋はどちらも屋根に関する職業ですが、取り扱う素材や作業内容が異なります。瓦屋は主に瓦を使った屋根の施工や修理を担当し、日本の伝統的な瓦屋根を美しく仕上げることが求められます。一方、板金屋は金属素材を用いて屋根や外壁の加工・取り付けを行う職業です。
金属屋根は軽量で耐久性があり、現代的な建築で多く採用されています。瓦屋は瓦の配置や固定が主な作業ですが、板金屋は金属を切断、曲げ、溶接して形を整える高度な加工技術が必要です。瓦屋も板金屋も建築分野において異なる役割を持ちつつ、屋根を守るために欠かせない専門職です。
瓦屋の仕事内容
瓦屋の仕事や瓦の施工や修理だけでなく、さまざまな業務をこなします。以下では大きく分けて事務作業、施工業務、その他に分けて仕事内容を解説します。
■事務作業
事務作業では、主に現地調査やお客様との打ち合わせ、施工計画の立案などを行います。現地調査では屋根の状態や寸法を確認し、最適な施工方法を検討します。その後、ヒアリングを通じてお客様の要望を把握し、必要な材料の発注や工期のスケジュール管理を行います。スムーズな施工作業を進めるために欠かせない重要な業務です。
■施工業務
施工業務は、瓦屋の中心的な仕事で、屋根の下地処理、防水シートの設置、瓦の固定などが含まれます。古い瓦を撤去し、新しい瓦に張り替える作業も重要です。地震や台風など災害による被害を修理し、屋根の耐久性を強化することも求められます。作業は細部にわたり丁寧に行われ、屋根の機能性と美観を兼ね備えた仕上がりを目指します。
■その他
瓦屋のその他の仕事には、伝統的な日本家屋の景観を保つための美観への配慮や、最新の技術や材料を活用した耐久性向上の工夫が含まれます。また、長期的に屋根を守るために、定期点検やメンテナンスを行うことも重要な役割です。こうした作業により、住まいの安心と快適さを提供しています。
瓦葺き職人になる方法
瓦葺き職人になるには、特別な学歴は不要ですが、現場での経験が重要です。まず、瓦屋や建築関連の企業に就職し、見習いとして基礎から学びます。職人として技術を高めるためには、先輩職人の指導を受けながら、瓦の選定や施工技術を身につけることが必要です。
国家資格「瓦葺き技能士」の取得を目指すことで、専門性を証明し、より信頼される職人として活躍できるようになります。
瓦屋が点検する際に確認するポイント
瓦屋が点検作業を行う際、屋根の状態を総合的に把握するために、いくつかの重要なポイントを確認します。これらの確認事項は、屋根の耐久性や安全性を維持するために欠かせません。以下に、具体的なポイントを小見出しごとに解説します。
瓦の破損やズレ
根の点検時に確認するポイントの一つは、瓦の破損やズレです。瓦の割れや外れは、雨水が浸透して住居の木材が濡れてカビになったり雨漏りにつながったりして住居に深刻な影響を与える可能性があります。
特に台風などの強風や地震後には瓦が動きやすいため、定期的な点検が不可欠です。瓦がズレていると、風でさらに剥がれる危険もあります。ひび割れや欠けた瓦も早期に発見し、修理することで、家屋を守ることができます。
瓦の施工方法
施工方法が正しいかどうかも、瓦屋の点検で確認します。施工時に使用された金具や釘が正しく配置されているか、防水シートが適切に敷設されているかをチェックします。瓦の重ね方に問題がないかも確認し、補修工事が必要かどうかを決めます。
また、どのような施工方法で補修工事をするかを検討するために、施工方法が旧工法であるかを確認する必要もあります。昭和初期までに施工された瓦屋根では、瓦の下に土を敷いて瓦屋根を固定していました。現在ではこの土葺き施工は耐久性の観点から行っておらず、引掛桟工法やポリフォーム工法が主流で土葺き工法の住宅はリフォームが必要です。
瓦の留付けの状態
金具や釘、留付け金具がしっかりと機能しているかどうかも重点的にチェックします。金具が錆びたり緩んだりしていると、強風などで瓦が飛ばされる危険があります。そのため、各瓦の固定具や金具が劣化していないか、しっかりと固定されているかを細かく調べ、問題があれば早期に交換や修理を行います。
漆喰の剥がれ
漆喰は瓦屋根を保護する重要な役割を担っています。点検時、瓦屋は漆喰が剥がれていないか、亀裂が入っていないかを確認します。漆喰の剥がれやひび割れが進行すると、屋根に浸水するリスクが高まり、内部の木材や構造材を劣化させる恐れがあります。
漆喰の剥がれが進行すると、瓦の固定力も低下し、大棟の瓦の崩れにもつながるため早期に修理や再施工を行うことが大切です。
まとめ
瓦屋とは主に瓦屋根の施工や修理を専門とする職業です。仕事では瓦屋根の施工や修理だけでなく、お客様とのやり取りやメンテナンスを通じての事務作業などさまざまな業務をこなします。学歴は不要ですが、職人としての現場での経験・技術が重要視される職業でもあります。
瓦屋が瓦屋根を点検する際に確認するポイントは、瓦の破片やズレ、漆喰の剥がれ、瓦の留付けなどです。瓦屋根のダメージが大きかったり経年劣化をしていたりする場合には、早期に補修工事が必要になります。