片流れ屋根とは?特徴やメリットとデメリット・雨漏り対策法を解説
屋根
屋根形状には日本の住宅の定番とも言える寄棟屋根や切妻屋根、近年人気の陸屋根や片流れ屋根などがあります。住宅の屋根には機能性と見た目、どちらも重視する方が増えており、近年では片流れ屋根の人気が高まってきています。太陽光発電を設置したい方には特に人気です。
当記事では、片流れ屋根の特徴やメリットとデメリット、また片流れ屋根のメンテナンス方法についても解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 片流れ屋根を採用するか検討中の方
- 自宅が片流れ屋根を採用していて、メンテナンスをしようとしている方
- 太陽光発電に最適な屋根形状について詳しく知りたい方
片流れ屋根とは?特徴を解説
片流れ屋根とは一方向に勾配をつけた屋根のことです。屋根形状の中には2面で形成される切妻屋根や4面で形成される寄棟屋根などがありますが、片流れ屋根は1面のみのとてもシンプルな屋根形状になっています。
近年では将来を見据えて平屋に住みたいという方も増えており、平屋で片流れ屋根が多く採用されています。一般的に平屋は光を取り入れにくい特徴がありますが、片流れ屋根を採用すると高い位置に窓が設置できるため明るい居住空間にできます。シンプルゆえにスタイリッシュな外観になるというところも人気の理由の1つです。
片流れ屋根のメリットとデメリット
片流れ屋根が近年多くの住宅で採用されている理由は、デザイン性と機能性に優れた特徴を持っているためです。しかし、多くのメリットだけでなくデメリットもあるため、採用する前にどちらも知ってから決断することが重要だと言えます。
以下では、片流れ屋根のメリットとデメリットを解説します。
片流れ屋根のメリット
片流れ屋根のメリットは以下の通りです。
■空間を有効活用できる
一般的な三角屋根の家に比べて、建物内のデッドスペースを有効活用できるのが片流れ屋根の特徴です。建物の片側は天井が高いため、屋根裏収納やロフトなどにすることができます。敷地の狭い住宅には収納スペースを多く設けられるためおすすめです。
■初期費用が安い傾向にある
片流れ屋根は構造がシンプルで、建築コストが安いのがメリットです。三角屋根のように接合部分がない上に、屋根板金も必要がありません。また雨どいも一方向につけるだけのため、ここでも費用が他の屋根よりも抑えられます。構造がシンプルだと建築時だけでなくメンテナンス費用も比較的安くなるため、継続的に費用を抑えられるのも魅力です。
■スタイリッシュな外観になる
片流れ屋根を取り入れたい住宅は、スタイリッシュでモダンな雰囲気の外観になります。シンプルな構造ため落ち着いた雰囲気で高級感を出せる片流れ屋根は、外観にこだわりたい方には最適です。住宅の雰囲気にもあまり左右されず、使う素材や色によっては和風からマニッシュな住宅まで幅広く対応できます。飽きのこないデザインも人気の理由でしょう。
■太陽光発電を設置しやすい
片流れ屋根は屋根全面が一方向に向くため、太陽光発電を取り付けるにはもってこいの形をしています。南向きは日照時間を長めに確保できるため太陽光発電の効率もよく、屋根面積が広い片流れ屋根であればより多くの電気を発電することができるでしょう。
片流れ屋根のデメリット
片流れ屋根のデメリットは以下の通りです。デメリットを知った上で実際に住宅に取り入れるかしっかりと検討しましょう。
■雨漏りリスクがある
片流れ屋根では屋根の頂上付近に落ちた雨水が外壁を伝い、屋根と外壁の隙間から雨漏りが発生することがあります。雨どいを一方向にしか設置しないため、設置した雨どいの負担が大きく劣化が早いことも雨漏りリスクが高まる原因の一つです。片流れ屋根を取り入れる場合は、建築会社に雨漏り対策をしっかりしてもらう必要があります。
■屋根や外壁が劣化しやすい
切妻屋根や寄棟屋根などの三角屋根は、数箇所に雨どいがついていて雨水の処理がうまくできるようになっています。しかし、片流れ屋根は一方向にしか雨どいがないため、雨どいへの負担が大きく雨で外壁が汚れ、劣化しやすいのがデメリットです。軒先のない壁面は雨だけでなく紫外線の影響も受けやすくなります。
■換気性能が弱い
片流れ屋根は空気の循環が自然に発生しにくい構造になっていて、換気性能が弱い特徴を持っています。換気がうまくできていないと結露やカビの発生につながり、屋根や住宅自体の強度にも影響が出る恐れがあるため注意が必要です。換気口を複数設置するなど、湿気が溜まらないようにする対策が必要になります。
■北向きの傾斜だと日照を得られない
屋根の高い方に窓を設けることで部屋に光を取り込んだり、太陽光発電を屋根に設置して電気を節約したりと、片流れ屋根の形によるメリットは多いです。しかし、こういったメリットは南向きであることが重要で、北向きに設置してしまうと陽が入らないためメリットを感じられなくなってしまいます。住宅を建てる際には、北側斜線制限なども確認し、思うようにメリットが受けられるかを確認しましょう。
片流れ屋根の雨漏り対策法
片流れ屋根の大きなデメリットは雨漏りのしやすさだと言えます。その雨漏りのしやすさに対する対策法を以下で紹介するため、参考にしてください。
■伝い水を防ぐ施工をする
片流れ屋根の雨漏りは、屋根の裏面を水が伝って室内に侵入するのが大きな原因です。そのため、伝い水が住宅内に侵入しないようしっかりと透湿ルーフィングで覆い、隙間を塞ぐことが雨漏り対策として重要になります。水きり板金や破風板の取り付けも効果的な方法です。
■換気ができる構造を作る
屋根そのものが劣化して雨漏りが発生することもあります。屋根の劣化は湿度が高いと進行するため、換気が弱く湿気の溜まりやすい片流れ屋根では湿気対策が大切です。送風ファンを設置するなど強制的に換気をよくする対策方法で、自宅内に湿気がたまらないように対策をとりましょう。
■屋根と外戚の接合部を強化する
雨漏りは屋根と外壁の接合部分から発生しやすいため、接合部分をしっかりと防ぐことが雨漏り対策になります。この部分は施工時だけでなく住宅が完成した後もこまめに点検し、雨水が侵入しないようにコーキングに劣化が見られたら早めにメンテナンスをしておきましょう。
まとめ
片流れ屋根は一方向に勾配をつけた屋根のことで、近年多くの住宅に取り入れられている人気の屋根形状です。初期費用やメンテナンスの費用が比較的安いだけでなく、スタイリッシュで高級感のある外観になり、太陽光発電を設置しやすいなどのメリットがあります。
しかし、雨どいを一方向にしか設置しないために雨漏りリスクがほかの屋根形状より高いことや空気の循環がしにくい構造から換気性能が弱いなどのデメリットもあります。片流れ屋根を採用する際は、デメリットをできるだけ無くすように対策をとり、設置することが重要です。