屋根カバー工法(重ね葺き)とは?メリットや施工手順・費用相場

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屋根カバー工法(重ね葺き)とは?メリットや施工手順・費用相場

屋根のリフォームを検討する際、「葺き替え」か「カバー工法(重ね葺き)」かで迷う方も多いのではないでしょうか。特に近年では、既存の屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材をかぶせる「カバー工法(重ね葺き)」が注目されています。費用や工期を抑えられる手軽さが魅力ですが、すべての住宅に適しているわけではありません。

当記事では、屋根カバー工法の基本的な仕組みから、実際に施工する際の手順、かかる費用の目安などを紹介します。屋根のリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 自宅の屋根が古くなり、リフォームを検討している方
  • 屋根リフォームの費用をできるだけ抑えたい方
  • 葺き替えとカバー工法の違いや特徴を比較したい方

屋根カバー工法(重ね葺き)とは?

屋根カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずにその上から防水シートと新しい屋根材を重ねて施工するリフォーム方法です。「重ね葺き」や「カバールーフ工法」とも呼ばれ、古い屋根を剥がさずに済むため、廃材処分や解体にかかる費用を抑えられるのが特徴です。

特に、アスベストを含む可能性のある古いスレート屋根では、安全面やコスト面からも有効な選択肢です。主にスレートや金属屋根など平らな屋根に対して施工され、軽量なガルバリウム鋼板やアスファルトシングルがよく用いられます。短工期・低コストで外観と防水性を改善できる点から、住宅の改修工事において広く採用されています。

屋根カバー工法(重ね葺き)のメリット・デメリット

屋根カバー工法(重ね葺き)のメリット・デメリット

屋根カバー工法では、葺き替え工事と比べてコストや工期の面で多くの利点がありますが、建物の状態や施工条件によっては注意すべき点も存在します。ここでは、屋根カバー工法の具体的なメリットとデメリットについて解説します。

屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法(重ね葺き)には、以下のようなメリットがあります。

費用を抑えられる 既存の屋根材を撤去せずに施工できるため、解体費用や廃材処分費がかからず、葺き替えよりも費用を大幅に削減できます。
工期が短い 解体作業が不要な分、施工期間も短縮され、一般的には5~14日程度で完了するケースが多いです。生活への影響も抑えられます。
断熱・防音効果が高まる 屋根が二重構造になることで、室内の温度変化が穏やかになり、雨音の軽減や防水性能の強化も期待できます。
近隣への迷惑が少ない 騒音やホコリの発生が少ないため、周囲への配慮がしやすい工法です。
アスベストへの対応がしやすい 古い屋根材にアスベストが含まれていても、カバー工法なら撤去作業が不要なため、高額な処分費用や飛散リスクを回避できます。
追加費用が発生しにくい 工事中にアスベストの存在が判明しても、撤去作業が不要なため、予算を大幅に超える心配が少なくて済みます。

屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法(重ね葺き)は手軽な反面、いくつかの注意点もあります。

下地の補修ができない 既存の屋根を撤去しないため、内部に劣化や腐食があっても補修が困難です。状態を見極めたうえでの判断が必要です。
再リフォーム時の費用が増える 2層分の屋根材を撤去する必要があるため、次回の葺き替え時は費用が高くなる傾向にあります。
耐震性に影響が出る可能性 屋根が重くなる分、建物全体の耐震性能が低下する場合があります。軽量屋根材を選ぶなどの工夫が必要です。
瓦屋根には適用できない 瓦屋根など凹凸がある屋根には施工できないケースが多く、葺き替えが必要になります。

屋根カバー工法(重ね葺き)の施工手順

屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根材をかぶせる工法です。以下のような手順で安全かつ丁寧に施工されます。

仮設工事 作業に必要な足場を建物の周囲に設置し、飛散防止のため養生シートを取り付けます。近隣への配慮としても重要です。
棟板金と貫板の撤去 屋根の頂点にある棟板金と、その下の貫板を取り外します。これらは新しい部材に交換します。
換気口の設置 屋根の棟部分に換気棟用の穴を開け、通気性や断熱性を高めます。
下地の調整 屋根の表面にあるひび割れや障害物を処理し、平らな状態に整えます。雪止め金具がある場合は撤去します。
唐草の取り付け 軒先に水切り金具(唐草)を取り付けます。これは雨水の侵入を防ぐ大事な部材です。
防水シートの施工 軒先から棟へ向かって防水シートを張ります。上下を重ねて施工し、雨水の浸入を防ぎます。
ケラバ板金の設置 屋根の端(袖)部分にケラバ板金を取り付け、雨水が横から入るのを防ぎます。
屋根材の施工 下から上に向かって新しい屋根材を張り付けます。釘は垂木に向けて固定します。
雪止め金具の設置 必要に応じて雪止め金具を設置します。
棟板金の設置 最後に新しい貫板と棟板金を設置し、換気棟をかぶせて釘で固定して完成です。

各工程では安全性と耐久性を意識した処置が施されており、屋根の性能を維持・向上させる上で重要な流れです。リフォームを検討する際は、手順を把握しておくことで、施工業者とのやりとりもスムーズになるでしょう。

屋根カバー工法(重ね葺き)の費用相場

屋根カバー工法(重ね葺き)の費用相場

屋根カバー工法の費用相場は、施工内容や建物の状況によって異なりますが、標準的な目安としては「屋根の面積(㎡)×1.1万円+足場代20万円(税込)」程度が基本とされています。既存の屋根が劣化しており、下地の野地板を増し張りする必要がある場合は、単価が「1.3万円」程度に上がるのが一般的です。

費用に大きく影響するのは、使用する屋根材の種類やグレードです。断熱材一体型など高性能な材料を選べばコストは上がります。また、施工方法の違い(釘やビスの材質、防水シートの性能)も費用差を生みます。加えて、業者の施工体制によっても価格は変動し、自社施工の会社と外注中心の会社では価格差が出ることもあるでしょう。

屋根の形状や勾配、敷地条件も価格に影響します。複雑な形状や足場が組みにくい立地では、人件費や手間が増えるため、費用が高くなりやすいです。こうした要素を把握した上で、信頼できる業者に見積もりを依頼しましょう。

まとめ

屋根カバー工法は、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねるリフォーム方法です。解体費用がかからず工期も短く、断熱・防音効果が高まるメリットがあります。一方、下地の補修ができず、再リフォーム時の費用増加や耐震性への影響がデメリットです。

施工は足場設置から防水シート張り、新屋根材設置まで約5~14日で完了します。費用相場は屋根面積×1.1万円+足場代20万円程度で、屋根材の種類や建物条件により変動するため、まずは依頼する業者に見積もりを取ってみるのがおすすめです。

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