瓦の落下修理に火災保険は使える?トラブル例やリスクを見抜くサイン

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瓦の落下修理に火災保険は使える?トラブル例やリスクを見抜くサイン

屋根の瓦が落下すると、雨漏りや通行人との接触など、思わぬトラブルが発生するおそれがあります。特に台風や地震の後には、目に見えない損傷が進行している可能性もあり、放置することで被害が拡大しかねません。

当記事では、瓦落下によって起こりうる代表的な被害や放置によるリスク、見逃してはならない兆候を詳しく解説します。瓦落下時の正しい対処法と、修理として火災保険が利用できるかを知りたい方も、ぜひご一読ください。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 自宅の屋根に瓦を使用しており、台風や地震後の安全が気になっている方
  • 瓦が落下した場合にどのようなリスクやトラブルがあるのか知りたい方
  • 瓦の落下による被害に対して火災保険が使えるかどうかを確認したい方

瓦の落下に伴うトラブル例

瓦が台風や強風などで落下すると、周囲の人や物に被害を及ぼすおそれがあるため注意が必要です。特に古い建物やメンテナンスが行き届いていない屋根では、思わぬトラブルに発展する可能性があります。以下では、瓦の落下によって発生しうる具体的なトラブルの例について紹介します。

雨漏り

瓦が落下した際に最も気になるトラブルの一つが雨漏りです。ただし、瓦が落ちたからといって、必ずしもすぐに雨漏りするとは限りません。たとえば、防水紙(ルーフィング)が劣化しておらず落下から時間が経っていない場合には、すぐに水が室内へ浸入する心配は低いと考えられます。

しかし、瓦の落下を放置すると雨水が屋根下地や木材へ染み込み、やがて室内への雨漏りとして現れる可能性があります。瓦の破損は「一次被害」ですが、対応が遅れることで「二次被害」へと発展するため、早めの点検・補修が重要です。

通行人への接触

瓦は種類によって異なるものの、1枚あたり約3~4.5kgの重さがあります。このような重量物が高所から落下した場合、落下先の物品が破損するだけでなく、タイミングによっては通行人に直撃し、大きな事故へと発展するおそれがあります。

物損被害で済むならまだしも、人身事故となれば、損害賠償や刑事責任に発展する可能性も否定できません。特に歩道や道路に面した住宅の場合は、瓦の落下が思わぬトラブルを招くことを認識しておく必要があります。

瓦が落下した状態を放置するリスク

瓦が落下した状態を放置するリスク

瓦が落下した状態を放置することには、さまざまなリスクが伴います。まず明らかなのが雨漏りのリスクです。瓦の下には防水紙が敷かれていますが、瓦が欠けたままの状態が続けば、やがて防水紙も劣化し、雨水が屋根内部に浸透しやすくなります。

また、一部の瓦が欠損している状態は、次に台風や強風が来たときに、周囲の瓦が風圧を受けやすくなる原因になります。瓦の下に風が潜り込むと、周辺の瓦も一気に飛ばされてしまう可能性があり、被害が拡大する恐れがあります。早めに補修を行い、被害の連鎖を防ぐことが重要です。

瓦の落下リスクを見抜くサイン

瓦屋根には、落下リスクが高まる前兆がいくつか見られます。これらのサインに早く気付くことで、瓦の落下やそれに伴う被害を未然に防ぐことが可能です。以下では、落下リスクを見抜くサインについて解説します。

瓦のひび割れ・欠け 表面に細かい亀裂が入っていたり、角が欠けている瓦は、強風や降雨の影響でさらに劣化が進行し、やがて脱落するリスクがあります。
特にセメント系の瓦は、経年劣化によってもろくなりやすいため注意が必要です。
瓦のずれ・浮き 屋根上から地面に向かって瓦が滑り出していたり、微妙に浮いているような状態は、固定力が弱まっているサインです。
このようなずれがあると、次の台風や突風の際に一気に滑落するおそれがあります。
漆喰の剥がれや崩れ 瓦と瓦の間を埋めている漆喰が崩れていると、瓦の安定性が低下します。
特に棟部や隅棟に使われる漆喰の劣化は、全体の瓦の保持力に直結するため、早めの点検・補修が重要です。
棟瓦のずれや崩れ 棟瓦のずれは屋根全体の重心バランスを崩すことにもなりかねません。
棟瓦は屋根の最も高い位置にあるため、棟瓦が崩れると周囲の瓦の固定力にも悪影響を与え、複数の瓦が連鎖的に落下する危険性があります。

上記のようなリスクの原因には、経年劣化による固定力の低下や自然災害による破損などが考えられます。瓦の釘や留め具、漆喰の劣化によって瓦の固定力が低下すると、瓦が滑って落ちやすくなります。特に30年以上経過した屋根は目に見えない部分で劣化が進んでいる可能性があるため注意が必要です。

また、台風や地震の直後も目には見えない瓦のひび割れやずれが発生していることがあります。自然災害の後は特に屋根の状態に気を配ることが大切です。

瓦が落下したときの対処法・火災保険の利用可否

瓦が落下したときの対処法・火災保険の利用可否

瓦が滑落・落下してしまった際は、以下の手順で冷静に対処することが求められます。

■安全確認を行う

まずは、落下した瓦によって人が怪我をしていないか、車や物に被害が及んでいないか確認します。屋根からのさらなる落下がないか地上から様子を見て、安全を確保することが第一です。瓦の周辺にはむやみに近づかず、家族や近隣住民にも注意を呼びかけましょう。

■応急処置を行う

破損部分からの雨水の侵入を防ぐため、ブルーシートなどで屋根の開口部を覆います。ただし、自身で屋根に登る行為は非常に危険です。脚立の使用も含めて、転落リスクがある場合は無理に対応せず、業者に依頼することが推奨されます。

■屋根の専門業者に連絡する

信頼できる屋根工事の専門業者に連絡を取り、現地確認と見積もりを依頼します。瓦の滑落は、漆喰の劣化や釘の浮きなど、経年による症状が原因であることも多いため、今後の予防も含めた適切な修理が求められます。

■原因を特定し、再発防止策を考える

業者による点検で、滑落の原因が明らかになります。強風や老朽化、不適切な施工などが原因である場合、それに応じた対策を講じることで再発を防ぐことができます。棟瓦の補強や漆喰の再施工、全体的な葺き替えなどが検討対象になります。

瓦の落下が台風や強風、落雷、雹などの自然災害によるものであれば、火災保険の「風災」や「雹災」補償によって修理費用がカバーされる場合があります。被害状況を写真で記録し、修理前に保険会社または代理店に連絡を取りましょう。保険申請には、被害の証拠や修理見積書が必要です。

ただし、損傷の程度が軽微で修理費用が保険の自己負担額と大差ない場合には、保険を使わずに自己負担で対応する選択肢もあります。保険を使用すると契約更新時に保険料が上がる可能性があるためです。状況に応じて、保険を利用すべきかどうかを慎重に判断することが重要です。

まとめ

瓦の落下は雨漏りや通行人への接触など深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。放置すると被害が拡大し、周囲の瓦も連鎖的に飛散するリスクがあるため注意が必要です。落下の前兆としては、瓦のひび割れ・ずれ・浮き、漆喰の剥がれ、棟瓦の崩れなどが挙げられます。

実際に瓦が落下した際は安全確認後、応急処置を行い早いうちに専門業者に連絡してください。自然災害が原因の場合は、火災保険の風災補償が適用される可能性があるため、被害状況を記録し保険会社に相談しましょう。

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