方形屋根とは?メリットとデメリット・寄棟屋根との違いも解説
屋根
方形屋根(ほうぎょうやね)は、寺院などでも採用されている日本の伝統的な屋根の形状の一つです。マイホームを建設しようとしている方の中には、方形屋根が気になっているものの詳しくわからないという方もいるのではないでしょうか。
当記事では、方形屋根の特徴やメリット・デメリットなどを解説するので、ぜひマイホーム建設の予備知識としてお役立てください。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 方形屋根の特徴やメリットとデメリットが知りたい方
- 方形屋根を導入するか検討中の方
- 方形屋根と寄棟屋根の違いを知りたい方
方形屋根とは?
方形屋根とは「ほうぎょうやね」と読み、住宅の屋根形状の一つです。一つの頂点から四方に向かって同じ角度で屋根が流れる形状をしており、4面それぞれが三角形で真上から見ると正方形になっています。簡単に言えば、低いピラミッドのような形です。
方形屋根は寄棟屋根の一種で、寄棟屋根との違いは大棟の有無です。方形屋根では大棟や陸棟と呼ばれる頂点の棟がありません。また基本的に正方形の間取りに採用されることが多く、寺院でも多く採用されている屋根になっています。正方形(四角)以外の形もあり、六角形は六柱造り、八角形は八柱造りと呼ばれます。
方形屋根のメリット
方形屋根は大棟がないことで4面が三角形で構成されており、ピラミッド型でバランスがよく、美しいのが魅力の一つです。住宅を重厚感と安定感のある雰囲気の外観にしたい方には検討しておきたい屋根だと言えるでしょう。
そのほかにも、方形屋根にはいくつかメリットがあるため、以下で3つ紹介します。
斜線制限に強い
住宅を建てる際にはさまざまな制限をクリアする必要があり、その中の一つに斜線制限があります。斜線制限とは、日当たりや風通しと確保するための制限です。地面や地面から一定の高さを基準に斜線を引いて、その斜線を超える範囲に建物を建てるのを制限し、周辺の土地や建物の日照環境を確保します。
方形屋根は高さ自体を抑えられるだけでなく四方に屋根が広がっているため、隣地境界線や道路から伸びる規制の線に対して対応しやすい屋根形状です。都心部では北側の高さに対して規制が厳しい傾向にありますが、そういった場所でも方形屋根は多く採用されています。
四方の外壁を保護できる
屋根は室内に入る雨風を防ぐ役割を持っていますが、他にも外壁への負担を軽減してくれるという特徴もあります。例えば、雨風や日差しの紫外線などによって、外壁は日常的に負担がかかり、劣化にもつながります。屋根の軒があれば屋根に雨がかかる部分が減り影が生まれて、壁への影響を軽減できるのです。
方形屋根は屋根の中でも四方に屋根が広がっている形状のため、どの面も均等に雨風などから外壁を守れます。外壁への負担を軽減すれば美しい外壁を長期的に保てるだけでなく、メンテナンス費用の節約につながるでしょう。
耐久性に優れている
方形屋根は正方形のバランスが取れた形状のため屋根内部の構造を頑丈にしやすく、風圧や地震に対して強い造りにすることができます。四方に均等に雨や雪を分散できるのも、方形屋根のメリットです。
方形屋根のデメリット
方形屋根を採用するならメリットだけでなく、デメリットも知っておくことが大切です。以下では、方形屋根のデメリットを3つ解説するので、ぜひ参考にしてください。
雨漏りのリスクが高い
方形屋根は屋根が4面あり、屋根と屋根の間には「隅棟(すみむね)」という傾斜のついた棟ができます。隅棟は切妻屋根や片流れ屋根にはなく、隅棟の接続部であるかき合いは雨漏りが発生リスクが高い部分のため注意が必要です。
施工において仕上げが甘いと雨漏りにつながる危険性が高まるため、雨漏りのダメージを受けやすい部分は特に保護しつつ工事を進める必要があります。
屋根裏の換気スペースが限られる
方形屋根は大棟がないため屋根裏スペースがかなり狭くなる傾向になり、換気扇が設置しにくい構造をしています。スペースがないため断熱機能も弱く、湿気が溜まりやすく結露しやすいのがデメリットです。雨の多い地域にはあまり向かない屋根形状だと言えます。
換気扇を設置するとなっても設計や施工で工夫が必要になるため、手間が増えるのもデメリットでしょう。
太陽光パネルが設置に向かない
近年では新築建設にあたって電気代節約のために太陽光パネルの導入を考える方も少なくありませんが、太陽光パネルと設置するには横に長い面を取る必要があります。方形屋根は屋根の形がすべて三角形であるが故に一つひとつの屋根の面積が狭く、太陽光パネルの設置には不向きな形状です。
太陽光パネルの設置を検討するのであれば、切妻屋根や片流れ屋根など、一つの面が広く取れる屋根形状を選ぶのがおすすめです。
方形屋根と比較されがちな寄棟屋根の特徴
寄棟屋根(よせむねやね)の寄棟とは、四方に傾斜のある屋根のことを指します。方形屋根も四方に屋根が広がるため、方形屋根は寄棟屋根の一種です。それぞれの違いは大棟と呼ばれる棟があるかどうかで、寄棟屋根は大棟があるのに対し、方形屋根はありません。方形屋根は上から見ると正方形で、寄棟屋根は長方形をしています。
寄棟屋根と方形屋根の構造は少し似ているため、メリットとデメリットも似ている傾向にあります。以下は寄棟屋根のメリットとデメリットです。
メリット
- 斜線制限のある場所でも有利
- 和風と洋風どちらの雰囲気の住居にもマッチする
- 耐久性に優れている
デメリット
- 施工費やメンテナンスコストなどが高くなる傾向にある
- 屋根裏のスペースが取りにくい
- 雨漏りリスクが高い傾向にある
- 太陽光パネルの設置に不向き
寄棟屋根も日本の伝統的な屋根の形のひとつです。住居の間取りを長方形にする場合は、寄棟屋根を検討するのもよいでしょう。
(関連:寄棟屋根の特徴とメリット・デメリットを解説!切妻屋根との比較も)
まとめ
方形屋根(ほうぎょうやね)は日本の伝統的な屋根形状の一つで、一つの頂点から四方に向かって同じ角度で屋根が流れる形状をしているのが特徴です。上から見ると正方形をしており、低いピラミッドのような形をしています。
方形屋根は三角形の屋根が4面で構成されているため、斜線制限に強かったり四方の外壁を保護できたり、耐久性に優れているといった多くのメリットがあります。外観も重厚感があり、住居を安定感のある外観にしたい方にはおすすめです。しかし、雨漏りリスクがある、屋根裏の換気スペースが限られる、太陽光パネルに不向きといったデメリットもあるため注意しましょう。