棟瓦の積み直しとは?施工の手順や放置してはいけない理由を解説
屋根

瓦屋根の中でも一番自然の影響を受けやすいのが、棟瓦です。屋根の一番上の部分にあるため直射日光や雨、風などの影響を受けやすく、劣化具合によっては棟瓦の積み直しが必要になります。しかし、どのような状態であれば劣化と言えるのか、またどのような手順で積み直しをするのか、具体的に分からないという方も少なくありません。
当記事では、棟瓦の積み直しの手順やメンテナンスの必要性などについて解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 瓦屋根にズレやひび割れを見つけて不安を感じている方
- 雨漏りを防ぐために屋根のメンテナンスを検討している方
- 棟瓦の積み直しがどのような作業か詳しく知りたい方
棟瓦の積み直しとは?
瓦屋根の頂点の部分を「棟(むね)」と言い、棟に水平に並べられた瓦を「棟瓦(むねかわら)」と言います。
棟瓦の積み直しとは、棟瓦を取り外し、歪みやズレが発生していた棟瓦を再び正しい位置に積み直す作業のことです。経年劣化や風雨によるズレ、破損が原因で棟瓦がズレてしまった場合に、屋根の耐久性を保ち、雨漏りを防ぐために行われます。
棟瓦の積み直しの手順
棟瓦の積み直しには依頼する業者によってさまざまですが、一般的に1㎡あたり1万〜3万円程度がかかる傾向にあります。
しかし、棟を全体修理し直すという場合には、漆喰の塗り替え費用に1㎡あたり4,000〜7,000円程度もかかります。
以下では、瓦棟の積み直しの手順を紹介します。
状況の確認・事前点検
棟瓦の積み直しを始める前に、まずはしっかりと屋根の状態を確認することが重要です。
屋根全体を点検して、瓦にひび割れや破損がないかをチェックします。もし瓦が劣化している場合や屋根下地に問題があれば、その部分を修理する必要があります。
また、雨漏りの原因となる部分を見逃さないよう、防水状況も確認しておくことが大切です。しっかりとした点検を行うことで、無駄な費用を抑え、効率的な作業が可能となります。
既存の棟瓦の撤去
棟瓦の積み直し作業では、まず既存の棟瓦やその下にある土、漆喰などをすべて撤去します。
これは、長年の使用によって劣化した材料を新しく交換し、耐久性を高めるためです。撤去の際には、周囲の瓦を傷つけないよう慎重に作業を進め、雨漏りの原因となる破損を防ぐことが重要です。
また、撤去時に棟内部の状態を確認することで、木材の腐食や雨水の侵入など、目に見えない不具合も把握できます。不具合を把握することにより、後の積み直し作業を安全かつ確実に行う準備が整います。
新しい土台の施工
既存の棟瓦や土の撤去が完了したら、新たな棟の土台を施工します。
土台は、棟瓦をしっかりと支えるための重要な部分であり、耐久性や耐震性に直結するため丁寧な施工が求められます。
通常は、南蛮漆喰やモルタルなどの耐水性の高い素材を使用し、棟の形に合わせて均等に盛り付けていきます。使用する素材によっては防水性能や接着性に違いが出るため、状況に応じた選定が重要です。土台をしっかりと施工することで、棟瓦のズレや崩れを防ぎ、長期的な屋根の安定性が確保されます。
棟瓦の再設置
新しい土台が完成したら、棟瓦を再び設置します。この工程は積み直しの仕上げとなる重要な作業であり、瓦同士の接合や固定を丁寧に行うことで、風雨や地震によるズレや落下を防ぎます。
再設置の際には、瓦の形状や配置を確認しながら丁寧に積み重ね、接着材や銅線・ステンレス線を用いてしっかりと固定します。特に、台風や強風の影響を受けやすい屋根の棟部分は、強固な施工が求められるため慎重に行います。
全体の仕上げと点検
棟瓦の積み直しが完了したら、仕上げと点検を行います。仕上げでは、棟瓦のズレや歪みがないか確認しながら微調整を行い、見た目の美しさを整えます。また、雨水の浸入を防ぐため、接合部の漆喰の補修や清掃も大切な工程です。
点検では、全体を目視で確認し、瓦の固定状態や防水性に問題がないかをチェックします。最後に、周囲を清掃して完了です。丁寧な仕上げと点検を行うことで、瓦屋根の耐久性を高め、長持ちさせることにつながります。
棟瓦の積み直しを放置してはいけない理由
棟瓦のズレやひび割れ、漆喰の剥がれなどが見られる場合、棟瓦の積み直しが必要な状態です。これらを放置すると建物全体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、早めの対応が重要です。以下では、棟瓦の積み直しを放置してはいけない理由について解説していきます。
雨漏りが発生する可能性がある
棟瓦の劣化やズレを放置すると、雨漏りが発生するリスクが高まります。棟瓦は屋根の頂点にあり雨水の侵入を防ぐ役割を担っていますが、ズレや隙間ができると雨水が屋根内部に浸入しやすくなります。
特に、台風や豪雨などで風雨が強まると被害が拡大しやすく、天井や壁にシミやカビが発生したり、建物内部の木材が腐食したりする恐れがあります。屋根の構造に悪影響が及ぶ前に、早めの積み直し工事が重要です。
自然災害時に被害が起きやすくなる
台風や地震といった自然災害時に大きな被害を受けやすいことも、棟瓦の劣化やズレを放置してはいけない理由の一つです。棟瓦は屋根の最も高い部分に位置しているため、風の影響を受けやすく、ズレやひび割れがあると強風で瓦が飛ばされる危険性が高まります。
瓦が落下して近隣や通行人に被害を与える恐れもあるため非常に危険です。自然災害の被害を最小限に抑えるためにも、棟瓦の積み直しは早めに対応しましょう。
まとめ
棟瓦の積み直しは、ズレやひび割れによる雨漏りや自然災害時の被害を防ぐために重要な修繕です。劣化した棟瓦を撤去し、新たな土台の上に正しく設置し直すことで、屋根の耐久性と防水性が高まります。
放置すると建物全体に悪影響を及ぼすため、異変に気づいたら早めの点検と対応が大切です。積み直しによって屋根の機能と美観を維持し、安心して暮らせる住まいを保つことができます。