屋根の漆喰修理の費用相場|施工方法や修理が必要な劣化の具合も解説

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屋根の漆喰修理の費用相場|施工方法や修理が必要な劣化の具合も解説

瓦屋根の大棟と桟瓦の間には、石灰石や接着剤成分、繊維質などの素材を混ぜて作られた「漆喰」が塗られた白い部分があります。大棟の土台となる葺き土が崩れたり雨風にさらされたりして雨漏りなどの問題が起きないよう、守る役割をしている部分です。

当記事では、漆喰のメンテナンス費用の相場や施工が必要な状態、修理せず放置した場合に起こる問題などを解説します。修理すべきか判断に迷われている方は、ぜひお役立てください。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 瓦屋根の家に住んでいる方
  • 漆喰のメンテナンスが必要だが費用に不安を感じている方
  • 漆喰の修理が本当に必要か確認したい方

屋根の漆喰とは?劣化内容と修理方法を解説

屋根の漆喰(しっくい)とは、瓦屋根の一番上にある箇所「大棟(おおむね)」の土台を守るために塗り込まれる壁材の一つです。瓦と瓦の隙間を埋めることで雨漏りや動物の侵入などを防ぎます。しかし、時間が経つと漆喰も劣化するため、定期的にメンテナンスが必要です。

以下は、漆喰が劣化したときの起こる変化をまとめた表です。

ひび割れ・欠け

漆喰は施工時は水分を含んでいるため湿っています。その状態から数か月かけて乾燥させますが、生活における微振動や台風の風などさまざまな要因からヒビが割れたり欠けたりしてしまいます。

コケの繁殖

経年劣化により漆喰の奥にある葺き土に雨水が侵入すると、カビやコケが生えて漆喰の中に根を張り、漆喰は黒っぽく変色します。放置するとカビやコケが雨水を吸い上げ、葺き土に水がどんどん入って雨漏りにつながる恐れもあります。

剥がれ

漆喰の経年劣化により葺き土に雨水が侵入すると、生活における微振動などでどんどん漆喰が剥がれ落ちてきます。剥がれた部分に雨水が入り込み、雨漏りにつながるため修理が必要です。

屋根の漆喰修理の費用相場

屋根の漆喰修理の費用相場

屋根の漆喰修理は対応できる職人が少ないために、一般的に修理費用が高額になりやすいという特徴があります。以下では、漆喰の修理に必要となる費用と料金の相場を紹介するため、ぜひ参考にしてください。

屋根棟の漆喰の塗り替え費用

漆喰の施工場所は、棟瓦にある三日月の部分(大棟の土台部分)と鬼瓦周りです。一般的に、三日月部分の修理費用は棟の長さで決まり、鬼瓦周りの修理費用は1か所ごとに値段が決まります。また、漆喰の上から塗り重ねるか、新たに塗り直すかでも費用が変わるのが特徴です。塗り重ねると修理費用は比較的安価で済むケースが多いものの、古いところから新しい部分も丸々剥がれ落ちる可能性もあるため注意しましょう。

三日月の部分では棟の長さ1m(半面)に対して2,000〜5,000円としている場合が多く、両面施工になると2倍の金額がかかります。例えば、棟の長さが10mの場合は以下のような計算方法になります。

10m(棟の長さ)×2(両面)×2,000〜5,000(単価)=40,000〜100,000円

また鬼瓦の修理の費用相場は1か所につき3,000〜5,000円程度です。

足場費用

漆喰を塗るには屋根に上がる必要があるため、当然足場の仮設が必要となります。足場費用は修理費用に加えてかかる必要経費です。一般的に仮説足場が必要ですが、勾配によっては屋根用の屋根足場が必要となる場合もあります。

足場費用は1㎡あたり600〜800円となっており、立地条件や足場の面積によって変動するため一概には言えないものの、平均的な一戸建ての場合10万〜25万円程度かかります。なお、自宅がそこまで大きくないのに足場だけに25万以上かかっている場合は割高になるため、依頼する業者を考え直すのもよいでしょう。

出張費用

依頼する業者と自宅の位置にもよりますが、業者の営業所と自宅が遠い場合は出張費用が発生する可能性もあります。事前に業者に依頼して、出張費用がかかるのか確認しておきましょう。

屋根の漆喰に修理が必要となる度合い・漆喰の寿命

瓦屋根の耐用年数は50〜100年と言われていますが、漆喰の寿命は10〜20年程度のため定期的なメンテナンスが必要となります。しかし、漆喰が少しひび割れていると言った程度で早急なメンテナンスや修理は必要ありません。不安を煽る形で修理を強引に勧めてくる悪徳業者もいるため、注意してください。

漆喰は以下のような状態ほど劣化してきたら、メンテナンスや修理をしましょう。

  • 漆喰が欠けたり剥がれ落ちたりしている
  • 漆喰の劣化によって瓦がずれて凸凹になっている

漆喰の劣化により瓦がずれると、漆喰の塗り直しだけでなく棟の積み直しという工事も必要になります。そのため、漆喰が剥がれたり欠けたりしているタイミングで修理をするのがベストです。

屋根の漆喰の劣化を修理すべき理由と放置する危険性

屋根の漆喰の劣化を修理すべき理由と放置する危険性

漆喰の劣化を修理せずに放置するとさまざまな問題につながってしまいます。放置をする期間が長いほど自宅が痛み、修理にさらに時間と費用をかける必要性が出てくるため、漆喰の劣化を見つけたら修理業者に依頼しましょう。

以下では、漆喰の劣化を放置した際の問題をいくつか紹介します。

■雨漏りの発生につながる

漆喰の劣化によって葺き土が剥き出しになると、雨水がそこに入り込んで雨漏りにつながります。浸透した雨水は天井裏に水たまりを作り雨漏りにつながりますが、それだけでなく、天井にカビが生えたり屋根裏の配線に水がかかって漏電したり、木材が腐ったりなど複数の問題につながります。

■瓦がずれて抜け落ちる

漆喰が剥がれ落ち、葺き土が雨や風にさらされ流出することで、棟を支える土台がなくなるため瓦がずれたり抜け落ちたりします。葺き土が流出すること、瓦がズレる、抜け落ちる、どちらも住宅において大きな問題です。

ほかにも害虫や害獣が隙間から屋根裏に侵入する可能性や、あまりに漆喰が劣化していると訪問業者のターゲットになりやすいということもあります。放置していれば何かしらの問題は起こってくるため、劣化したときのためのメンテナンス費用を確保しておくことが重要です。

まとめ

屋根の漆喰は経年劣化によってひび割れや欠け、コケの繁殖や剥がれなどがあるため、一般的に10年を目安に検討するのが適切とされています。三日月の部分の修理は棟の長さ1m(半面)に対して2,000〜5,000円程度の費用がかかり、鬼瓦の周りは1か所につき3,000〜5,000円程度です。しかし、修理費用に加えて足場を組む費用や、場合によっては出張費用もかかるため、あらかじめ見積もりを出してもらいましょう。

漆喰の劣化を放置すると雨漏りの発生や屋根の棟が崩れる、瓦がずれるなどの問題が起こる可能性もあります。漆喰が欠けたり剥がれたりしている段階で、早めに修理を検討しましょう。

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