切妻屋根とは?メリットやデメリット、必要なメンテナンスについて解説!

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切妻屋根とは?メリットやデメリット、必要なメンテナンスについて解説!

切妻屋根(きりづまやね)は、戸建住宅で最も多く用いられている屋根の形状です。
シンプルさ故に人気の高い切妻屋根ですが、マイホームを建てるにあたって屋根の種類で迷っている人も多いのではないでしょうか。

当記事では、切妻屋根のメリットとデメリットについて解説しています。住んだ後に必要なメンテナンスについても紹介しているので、切妻屋根にするかどうか迷っている方はぜひ参考にしてください。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 屋根の修理やリフォームを検討している方
  • マイホームを建てようとしている方
  • 切妻屋根の導入を検討している方
  • 切妻屋根のメリットやデメリットが知りたい方
  • 切妻屋根とは

    切妻屋根とは、山形に2方向へ落ちるデザインの屋根のことで、開いた本を逆さにかぶせたような三角形をしています。
    家の絵を描く時も、多くの人が切妻屋根で描くくらい馴染みのある屋根です。

    屋根の上部、開いた本で例えると背表紙にあたる部分を「大棟(おおむね)」といい、大棟から2方向に広がっている屋根の先端部分を「軒先(のきさき)」といいます。

    また、切妻屋根の建物を正面から見た時に上部が三角形に見える面の外壁のことを「妻壁(つまかべ)」、妻壁の上部に見える屋根の端を「破風(はふ)」といいます。

    (関連:屋根の形は12種類!形状別の特徴とメリット・デメリットについて解説!

    最もポピュラーな屋根の1つ

    日本にある住宅のうち、約半数(42.6%)は切妻屋根といわれるほど、広く普及しています。70年代までは、8割近くが切妻屋根だったことから、昔から人気があり長く愛されている屋根といえます。
    同様に、昔から人気の高い屋根として「寄棟屋根」があります。切妻屋根と寄棟屋根で8割以上のシェアを占めるほどポピュラーな屋根です。

    寄棟屋根は、頂上から軒先に向かって4方向に屋根が広がり、そのうち2面は台形で2面は三角形の屋根で構成されています。切妻屋根よりも強度が高い反面、コストがかかってしまうデメリットもあります。

    (参照:住宅金融支援機構「(4)屋根に関する項目」

    (関連:寄棟屋根の特徴とメリット・デメリットを解説!切妻屋根との比較も

    切妻屋根の語源

    切妻屋根は、妻壁で屋根を切り落としたような形状をしていることから「切妻屋根」と呼ばれています。

    また、日本では昔、「妻」には「端」という意味が含まれていました。妻は部屋の端にいることが多かった時代にあった考え方で、刺身に添えられている大根の細切りのことを「ツマ」と呼んでいるのと、語源は同じです。

    妻切屋根の6つのメリット

    妻切屋根の6つのメリット

    妻切屋根の人気の理由やメリットを、6つご紹介します。

    施工コストが抑えられる

    最大のメリットは、「施工コストが安いこと」です。
    シンプルな構造なので、工期が短く、材料費や人件費も最小限に抑えることができます。

    また、シンプルさ故に高度な技術も必要ありませんので、施工不良のリスクも少ないです。
    初期費用を抑えたい方におすすめです。

    メンテナンスがしやすい

    はじめの施工時のみならず、メンテナンスや修理も楽なのが妻切屋根のメリットです。
    家は、棟が少ない方が雨漏りがしにくい傾向があります。切妻屋根は、屋根の中央部分にある大棟しか棟がありませんので、雨漏りが起きるリスクが少ないです。

    万が一雨漏りをした際も、修理すべき箇所が明確なのでスムーズです。

    通気性が良い

    妻切屋根は、屋根の長さや角度が左右対称なので、湿気や熱気が偏りなく頂点に集まります。また、屋根裏スペースが広いため、換気口を設けることで、たまった湿気や熱気を追い出すことができます。

    湿気は屋根の劣化にもつながりますし、何より通気性が高いと快適な室内を実現しやすくなるメリットがあります。

    ソーラーパネルを設置しやすい

    妻切屋根は、屋根面積が広いためソーラーパネルの設置に適しています。

    近年では、電気代節約や災害対策で太陽光パネルを導入する人が増えています。
    太陽光を電気に換える「変換効率」が高い角度に合わせて、屋根の傾斜を調整しやすいため、太陽光発電を検討している方には、妻切屋根など面積が広い屋根がおすすめです。

    雨や雪を落としやすい

    切妻屋根は、三角形をしているので雨や雪を落としやすいメリットがあります。
    長い間、屋根の上に雨や雪がたまっていると、湿気が屋根で傷んだり、雪の重みで倒壊するリスクがありますが、切妻屋根だとその心配は少ないです。

    積雪の多い地域では、急角度の切妻屋根を造ることで、より屋根の上に雪が積もりにくいよう工夫をしています。

    屋根にたまった雪が落雪する場所が分かりやすいため、対策を立てやすいことも妻切屋根のメリットです。

    和風にも洋風にも合う

    切妻屋根は、日本だけでなく世界各国で用いられています。そのため、和風の家だけでなく洋風の家にもマッチします。
    どんな家にも合わせられるため、デザインを気にせず選べることが切妻屋根のメリットです。

    妻切屋根の2つのデメリット

    妻切屋根の2つのデメリット

    メリットが多く人気のある切妻屋根ですが、実際に取り入れる際にはデメリットも理解しておくことが大切です。

    ここでは、切妻屋根のデメリットを2つご紹介します。

    妻側の壁面が劣化しやすい

    切妻屋根の構造上、妻側の面はむき出しとなっているため雨風が直接当たりやすいです。そのため、劣化が早く、雨漏りを招くリスクがあります。
    心配な方は、軒の出が長いデザインを選ぶことをおすすめします。軒の出が長いと、その分外壁が雨風に当たりにくくなるので、外壁の傷みを軽減することができます。

    また、撥水効果の高い塗料を塗ることでも対策は可能です。

    デザイン面で個性を発揮しづらい

    切妻屋根はシンプルかつ日本で最も普及している屋根のため、他の家とデザイン面での差別化が難しいです。

    とはいえ、屋根の素材や色、傾斜の角度を工夫することで、自分好みの屋根にすることは可能です。
    切妻屋根は施工費用が安いため、浮いた予算を使って屋根以外で個性を表現することも方法の1つです。

    メンテナンス時の注意点

    屋根を長持ちさせるためには、屋根の形に関わらず10年に1度は必ずメンテナンスをすることが非常に大切です。
    特に、妻切屋根の場合は「破風」と「妻壁」がダメージを受けやすいので注意しましょう。

    破風は、雨水の吸水を防ぐために塗装メンテナンスを行うのが一般的です。破風板が剥がれてしまっている場合は、金属をかぶせて補強する板金工事がおすすめです。

    妻壁は、雨染みが出来ていないか、表面の塗膜が傷んでいないかを定期的にチェックしましょう。外壁のメンテナンスは、塗装を行うのが一般的です。

    まとめ

    切妻屋根とは、山形になっている三角形の屋根のことで、最も人気の高いポピュラーな屋根です。
    シンプルな構造なので、人件費や材料費が最低限で済むため施工・メンテナンスのコストが安いことが最大のメリットです。
    また、通気性が良い点や太陽光パネルの設置に適している点など機能性も高いことが人気の理由となっています。

    一方で、周囲との差別化が難しい点や、妻壁の劣化が早い点はデメリットとして挙げられます。
    屋根の色や傾斜の角度を調整することで個性を表現しつつ、定期的にメンテナンスを行うことで、安心安全に長く住める家になるでしょう。

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